あらすじ
世界初の完全感覚型VRMMO――
『Eclipse Myth Online(エクリプス・ミス・オンライン)』通称EMO。
五年の開発期間を経て誕生したその世界には、六百種を超える種族、六百種を超える職業、十三の属性、そして無数の未発見コンテンツが存在していた。
だが、プレイヤーは最初に種族を選ぶことができない。
その世界で何を見て、何を成し、どう生きたか――その“歴史”によって種族そのものが変化していくからだ。
サービス開始と同時にログインした高校生・天城レンは、プレイヤーネーム《Noct》としてゲームを始める。
周囲のプレイヤーたちが最強職や効率的なレベル上げを求める中、彼が選んだのは不人気職業《放浪者》。
戦闘補正なし。
成長補正なし。
専用スキルなし。
誰も見向きもしない職業だった。
しかし、その説明文にはこう記されていた。
《旅する者は、時に世界の境界へ辿り着く》
その一文に惹かれたNoctは、ランキングにも最強にも興味を示さず、ただ未知の景色を求めて旅を始める。
誰も通らない獣道。
誰も訪れない廃道。
誰も知らない湖。
誰も発見していない遺跡。
世界初発見を重ねるたびに、彼だけが神話へ近づいていく。
やがてNoctは、サービス開始直後にもかかわらず、世界で初めて神話級クエスト
《星を見上げた最初の旅人》
を発見する。
それは、この世界の根幹に関わる物語の始まりだった。
神話級クエスト。
世界級ボス。
失われた古代文明。
世界を創った神々。
そしてEMOそのものに隠された真実。
これは最強プレイヤーの物語ではない。
誰よりも遠くまで歩き、
誰よりも多くの景色を見て、
誰よりも深く世界の秘密へ辿り着いた――
一人の放浪者の物語である。