あらすじ
魔王が倒された後の世界のお話。
――シレンシア。
そのエルフは、かつて己の強大すぎる魔法によって『人間』を守ろうとした。
――『化け物』。
守りたかったはずの人間から向けられた、恐怖と拒絶の眼差し。心に深い傷を負った彼女は、「自分は人間と一緒にいてはいけない存在なのだ」と自らの魔法を封印し、人里から離れた森の奥で実に五百年もの間隠遁生活を送っていた。
だがそんなある日、彼女の住む森に迷い込んでしまった一人の少女が、巨大な魔物に襲われているのを目撃する。過去のトラウマがフラッシュバックして足がすくむ彼女だったが、その目に浮かぶ涙を見て覚悟を決め、五百年ぶりに自らの魔法を解き放ち、魔物を一撃で粉砕する。
――また『化け物』だと恐れられる。
そう絶望し、目を伏せていた彼女に対し――少女は満面の笑顔を咲かせ、心からの「ありがとう」を伝えた。
たった一人の少女が、彼女の凍り付いた心を溶かしていく。
これは、五百年間『化け物』であり続けたエルフが、最も弱い人間の少女に救われ、ともに世界へ踏み出すまでの物語。