あらすじ
千年前、四人の娘が生贄に捧げられた。
死ぬはずだった彼女たちは、死ななかった。
山深い村「霧峰」。飢饉と疫病が続いたその秋、村人たちは古い慣習に従い、四人の娘を大地の神への捧げ物とした。
目覚めた彼女たちに宿っていたのは、特別な力と、終わらない命。
それから千年が経った今も、四人はまだ生きている。
【夜明けの魔女】
村から離れた丘の天文台に暮らし、星を見続けている。静かで温厚、しかし怒らせてはいけないと誰もが知っている。千年間、自分の怒りを一度も使ったことがない。
【晴天の魔女】
律の魔術師として村に根を下ろし、罪を裁き続けている。正義を絶対のものと信じ、処刑を芸術と称する。その目が何を映しているのか、誰も知らない。
【朧月の魔女】
町に降りるときは少年の姿に変身し、解毒と治癒の力で命を救い続けている。感情を持たないように見えるが、それは持たないのではなく、見せないだけだ。
【黄昏の魔女】
港町の時計塔に暮らし、いつも子供たちに囲まれて笑っている。死と静寂を司る魔女が、誰より生き生きと「生」の中にいる。その笑顔が、何かを隠していることに気づく者はいない。
四人はそれぞれの千年を生き、それぞれの形で人と関わり続けてきた。
普通の人間として死ぬために。その方法を、まだ探しながら。