あらすじ
『——お前は、公爵家の恥だ』。
加護を【無】(加護なし)と判定された俺、ノエルは、十八年間“無能”と蔑まれ、ついに弟に地位と婚約者を奪われ、家名ごと追放された。
だが、誰も知らなかった。
俺の加護【身代わり】は、周囲の人間が受けるはずの災厄・傷・呪い・不運を、本人も気づかぬまま肩代わりする、数百年に一人の“守りの加護”だったことを。——皮肉にも、自分の不運だけは、肩代わりできないのだけれど。
行き倒れかけた俺を拾ったのは、たった一人で過酷な辺境を背負う「氷の辺境伯令嬢」フリーデ。彼女の加護【真眼】だけが、俺の“視えない力”の真価を見抜いた。「お前の加護は、尊い」——十八年で初めての肯定。俺は「守り人」として、辺境の民を守り始める。
そして、災厄級の巌獣すら、俺は“反射”で退けた。肩代わりした災厄を、そっくり相手へ返す——それが、守るだけじゃない、もう一つの力。「守り人」の名は、辺境を越え、中央へ、そして俺を捨てたあの家にまで轟いていく。
一方その頃。俺が消えた公爵家では、肩代わりされていた無数の災厄が逆流し、領地が崩れ始めていた。弟は兄を真似ても何も埋められず、婚約者は失って初めて俺の価値を知り——皆、静かに壊れていく。守るものを失ったのは、俺だけじゃなかったのだ。
凍えていた令嬢の心が溶け、辺境に居場所と温もりを得た俺の前に、今、加護の真の正体と、中央・教会の影が忍び寄る——。