あらすじ

ダンジョンは、町を潤す。 素材が売れ、宿が埋まり、酒場が賑わい、短期契約の若者たちは日銭を求めて穴へ潜る。 「戦闘なし」 「未経験可」 「三日で高収入」 そう書かれた札を信じて潜った子どもたちは、戻らなければこう言われる。 本人が選んだ。 危険は説明した。 契約書に署名している。 ノラ・ヴェイルは、灰鷹ギルドにも神殿にも正式には属さない外部の救助屋だ。 できることは多くない。 一度に連れて帰れるのは、せいぜい一人。 白魔法でも失った血は戻せない。 助けられない者には、水と灯りと、最後の言葉を書く紙を残す。 それでもノラは、死んだ若者の声を「自己責任」の一言で片づける大人たちを許せなかった。 そして彼女は知る。 ダンジョンには核がある。 核を奪えば、迷宮は閉じる。 ただし、それは町の仕事場を潰し、利権を止め、法に背く行為でもある。 救助では足りない。 けれど、閉じるだけで救えるわけでもない。 若者を食う迷宮を、ノラは一つずつ閉じていく。 これは、救えなかった名前を背負った少女が、世界の仕組みに逆らう物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/05/31
  • 現在の作品迷宮閉葬