あらすじ
宇宙の終わり。
物理学者が熱的死と呼ぶ静寂の世界。
人類最後の一人として四千年の時を旅し、文明の残骸を記録し続けるソラ。
彼女の固有時間はわずか十三年。
光速移動の代償として、愛する人々も、帰るべき場所も、すべては「遠い過去の届かない場所」へと消え去っていた。
ある日、ソラは死に絶えたはずの宇宙の果てに、人工的な光が灯る「庭」を見つける。そこで出会ったのは、時間を「流れるもの」ではなく「広がり」として捉える異質な知性体・ルミナだった。
「あなたは、自分自身を持ってきましたか?」
ルミナの問いに、ソラは答えられない。
記録することで感情を押し殺してきた彼女と、すべてを見通せるがゆえに「今」を経験できないルミナ。二つの孤独が交わるとき、庭に隠された真実と、宇宙の始まりを巡る壮大な問いが動き出す。
これは、滅びゆく宇宙で「今」を刻もうとした、二者の魂の記録。