あらすじ
東京。
終電が終わり、始発が走り出すまでのわずかな時間。
高校二年生の暁祐希は、誰もいない夜明け前の東京を撮ることを日課にしていた。
ある日、午前3時47分。
見知らぬアカウントから一通のLINEが届く。
『ねえ、今、渋谷にいる?』
送り主は朝比奈香奈という少女だった。
不思議なことに、彼女とのトークには既読がつかない。
それなのにメッセージは返ってくる。
写真も送られてくる。
時には声だって聞こえる。
けれど、二人は決して会うことができない。
香奈が送ってくる渋谷の写真には、今はもう存在しない工事現場や看板が写っていた。
調べるうちに祐希は気づく。
香奈は同じ東京にいる。
しかし、同じ時間にはいないのだと。
毎朝十三分だけ繋がる、二つの東京。
夜明け前の空の下、少しずつ距離を縮めていく二人。
だが、祐希が香奈のいる時間へ近づくほど、彼女とのトーク履歴は消え、写真は失われ、思い出さえも曖昧になっていく。
それでも会いたいと思った。
まだ会ったことのない君に。
これは、夜と朝の狭間に取り残された二人が紡ぐ、ひとつの恋の物語。