あらすじ
あらすじ
母を幼い頃に亡くし、父と二人で育った朝倉凪。
仕事に追われる父に代わり、母方の祖母・柏木澄江は、長い間“母親代わり”として凪を支え続けてきた。
やがて大人になった凪は東京で一人暮らしを始めるが、その後、父を病で亡くす。
残された祖母の世話をしながら日々を過ごしていた凪だったが、数年後、祖母・澄江もまた静かに息を引き取った。
葬儀後、遺品整理のため久しぶりに祖母の古い家へ戻った凪は、かつて“決して開けてはいけない”と言われていた本棚の引き出しを見つける。
その奥に眠っていたのは、祖母の日記と、亡き母が残した数々の手紙だった。
「凪へ」
母の声を知らずに育った凪は、古い日記を通して、初めて家族の本当の想いに触れていく。
不器用だった父の愛情。
娘を亡くした祖母の孤独。
そして、自分の成長を願いながら生きられなかった母の願い。
夏椿の咲く古民家を舞台に、止まっていた家族の時間が静かに動き始める。
これは、“失った人たち”の物語ではない。
たくさん愛されていたことを、ひとりの娘が知っていく、ひと夏の記憶の物語。