あらすじ

怪異は災害ではない。 都市を維持するために必要な“インフラ”だった。 政府監督下で怪異を管理する組織――境界環境整備機構《BEC》。 そこでは学校怪談、駅の異常、ネット都市伝説までもが、認知率や契約によって維持・運用されている。 ある夜、BEC地下保管区画で発見されたのは、記録にも記憶にも存在しない未分類怪異だった。 名前はない。 姿も固定されない。 相手の認識に合わせて姿も声も揺らぐその怪異は、社内で仮に《Null》と呼ばれる。 だが奇妙なことに、BECの記録はこう告げていた。 ――対象は以前より保管済。 誰も知らないのに、最初からそこにいた怪異。 終電後の存在しないホーム。 削除済みSNSに残る「まだ名前がない」という投稿。 そして、記録から消された真名。 都市の裏で働く怪異たちと出会いながら、名前のない怪異は自分の存在理由を探し始める。 これは、怪異を退治する物語ではない。 街の境界を守る怪異たちと、“自分が何者か分からない怪異”の存在証明の物語である。

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カクヨム
カクヨム2026/05/30
  • 現在の作品『まだ名前がない怪異』