あらすじ

この世界では、災厄は一度だけ訪れるものではない――波のように繰り返される。 一年に三度。決して狂うことなく、空は裂け、大地は震え、現実の外側に存在する“何か”が世界へと滲み出してくる。 人類は勝つために戦っているわけではない。 ただ生き残るためだ。 次の波が過ぎ去るまで、少しでも長く生き延びるために。 人々は壁を築き、避難区画を作り、そして“力”そのものを管理する謎のシステムに依存するようになった。 その正体を完全に理解している者はいない。 だが、そのシステムがなければ、人類はとっくの昔に滅んでいた。 それでも――何かがおかしかった。 災厄の波が、変わり始めていたのだ。 もはやただの災害ではない。 それらは動いていた。より近くへ、より深くへ――まるで“何か”を求めるように。 ……あるいは、“誰か”を。 青川蓮司は、その人物ではない。 少なくとも、彼自身はそう信じていた。 怠惰で、目的もなく――そして、自分で認めるなら……空っぽだった。 まるで、自分の人生そのものが最初から自分のものではなかったかのように、彼は無気力な日々を過ごしていた。 だが、その日――すべてが終わる。 偶然ではない。 運命でもない。 “何か”が、彼を選んだからだ。 遥か昔。すでに忘れ去られた時代。 たった一つの名だけで世界を震わせた存在がいた。 ――《虚無の魔王》。 本来、決して蘇ってはならなかった存在。 だからこそ――再び戻ることを強制される。 異世界で目覚めた時、蓮司は少しずつ真実を知ることになる。 自分の中に、“何かがおかしい”ことを。 消え去ったはずの存在の欠片。 自分のものではない記憶。 そして――人間が持つはずのない力。 この世界を襲う災厄は、自然現象などではない。 それは“循環”の一部だった。 人類が生き延びる術を覚える遥か以前から繰り返されてきた、終わりなき破滅の循環。 そして、それを断ち切るためには―― 蓮司は、この世界で最も恐れられる存在にならなければならないのかもしれない。 なぜなら時に―― 世界を救う唯一の方法とは…… 現実そのものにすら恐れられた“魔王”になることなのだから。

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小説を読もう2026/05/30
  • 現在の作品アスピラント・レゾナンス ―虚無の魔王と終焉の循環―