あらすじ
私は雪風。大戦を戦った試作機の全身義体者。人間からは「勇者」と呼ばれている。
戦争はとうの昔に終わった。今を生きる人たちは、あの時代をもう覚えていない。それでいいと思う。この時代のことは、この時代の人たちが決めるべきだから。
でも、私と同じ時代の遺物が、まだ目を覚ましたままだった。本土決戦用治安維持装置、大和。彼は東京に玉座を構え、愚かな争いを続ける人類を「統べる」と言う。データだけを見て、人間の魂を見ようとしない。
だから私は東へ向かう。呉から、名古屋、浜松、箱根を経て。情報屋でも軍人でもない、ただの輸送護衛として。私の隣にはヒロくんとナオミさんがいる。戦災孤児だったあの二人は、いつのまにか私を見上げるほど大きくなって、子どもまで育てている。
人は完全じゃない。だけど、それは欠点じゃない。魂の在り方を決めるのは、その人自身だ。
これは、ひとつの時代を終わらせて、次の世代に未来を手渡すまでの物語。