あらすじ
「お前が信号を入力したその瞬間、臨海化学プラントの電子計器が全損した。損害、7億6千万円や」
ループテストの仕様書通りに施工したはずが、国家予算レベルの負債を背負うことになったプラント専門の電気工事士・青木直也(30)。
神戸湾の底でD種接地を取らされる(沈められる)寸前の彼に、元請け社長が提示した示談の条件は、あまりにも奇妙なものだった。
――山奥にある超名門『聖インフラ女学院』に通う、娘の美咲(17)を無事に卒業させること。
たった一年、お嬢様の荷物持ちをすれば7億チャラでプラス1億。
ボロいビジネスだと契約書にサインした直也だったが、タワマンの引きこもり部屋の前で絶望の事実を知る。
「一年なわけないじゃん! 私、まだ高校1年生だよ!」
2年間の引きこもり。卒業まであと3年。投げ出せば即告訴で首をくくるしかない値段。
さらに、その学園は日本中の巨大インフラ企業の令嬢たちが集まり、【専属電工を執事として同行させ、校内のインフラ占有権を奪い合う】頭の狂ったバトルフィールドだった!
前の執事が「高圧(キュービクル)も触れない素人」だったせいで、上級生に自室のエアコンと照明の権限を奪われ、暗闇と熱中症の中で心が絶縁(シャットアウト)してしまった美咲。
退路を断たれた直也は、腰袋の電工ペンチを鳴らす。
数万ボルトの電圧と、複雑怪奇な計装ループを相手にしてきたプラント電工をナメるな。
住宅配線レベルのぬるい執事どもが支配する学園のインフラ(ルール)を、ガチの国家資格と職人ロジックで裏から強制シャットダウンしてやる。
「美咲、行くぞ。お前をいじめた奴らの『絶縁抵抗』、俺が全部ゼロにしてやる(漏電させてやる)」
命がけの7億返済ビジネス契約が、今、幕を開ける!