あらすじ
他人の「好感・殺意・嘘」が数値で視える辺境伯アルヴィス。中央から「廃物」と侮られる彼のもとへ、政略結婚で公爵令嬢シャルロッテが嫁いでくる。
初夜、枕元に立った花嫁の頭上には『殺意99』。彼女の正体は、彼を殺すために送り込まれた暗殺者だった。
――だが、アルヴィスは最初から全部、視えている。
暗殺者だと知りながら、彼は寒さに震える彼女に毛布をかける。毒入りの朝食は笑って完食し、二度目のナイフには上着をかけて返す。殺意99の刃は揺らがない。なのに彼女は、毎晩ほんの少しずつ、何かを崩していく。屋台の菓子に頬を緩め、救った子を「任務のため」と嘘をつき、いざという時その刃で彼を庇う。
全部視えるはずの男に、彼女の本心だけが、視えない。
やがて中央が放つ刺客団と、彼女のうなじに刻まれた「裏切れない呪縛」が、二人を引き裂こうとする。表示される殺意は99へ跳ね返り――それでも彼女は、生まれて初めて、自分の意思で刃を翻す。
危険な大小姐と、全知の辺境伯。殺意と、甘さの、掌控ラブコメ。