あらすじ

ねえ、聞いてる? 洗濯物を干しながら見つけた 変な形の雲のこと。 スーパーで買った苺が 思ったより甘かったこと。 テレビで見た猫が あなたにそっくりだったこと。 どうでもいいことばかりだけど、 私にとっては、 あなたに話したいことだった。 ねえ、聞いてる? 冷蔵庫に隠れたのも、 廊下で倒れてみせたのも、 ぬいぐるみを並べて会議を開いたのも、 本当は、 ふざけたかったわけじゃない。 ただ、 「おかえり」 のあとに、 少しだけ私を見てほしかった。 少しだけ笑ってほしかった。 少しだけ、 一緒にいてほしかった。 あなたは毎日頑張っている。 疲れていることも知っている。 誰より家族を大切にしていることも。 だから言えなかった。 寂しいなんて。 困らせたくなくて。 でも、 言わなかった寂しさは、 消えるわけじゃなかった。 ねえ、聞いてる? 本当に傷ついた日は、 私は何も言わなくなった。 怒らなくなった。 騒がなくなった。 笑わなくなった。 だって、 届かないと思ったから。 でもね。 あなたも寂しかったんだね。 静かな部屋の中で。 誰もいない食卓の前で。 何もない廊下を見ながら。 やっと知った。 寂しかったのは、 私だけじゃなかった。 夫婦って不思議だ。 一番近くにいるのに、 一番言葉が足りなくなる。 だから今日も言う。 ねえ、聞いてる? 聞いてるよ。 その返事だけで、 世界は少し明るくなる。 面倒くさい妻でごめんね。 でも、 あなたの前だけは、 素直でいたい。 ねえ、聞いてる? うん。 聞いてるよ。 これからも、 何度でも。

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小説を読もう2026/05/30
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