あらすじ
「あれ、ジューダスったら、またヒト殺しちゃったの――?」
「……勝手に死んだんだろ。弱いから」
天に愛されたから、その使いは強く、尊き者であるべきだ。
そっくりな見た目をしていても、それは弱く紛いものだ。我ら天使と違い、なり損なったヒトは決して同じではない。
ヒトのその姿に、決して騙されてはいけない。正義は我ら天使にある――そう、教えられて育った。なのに。
ジューダスの目の前で、死んだヒトに両の手を合わせて目を閉じている少女の成りをしたヒトがいた。
シモンが邪魔だと殺せば、そのヒトは骸にはならず白い砂へと変わった。
「ヒトだろ。見分けなんか、つかないけど。でも、あの死に方は、まるで……」
――俺たちと同じ、天使。
「ちょっと変なこと言わないでよ! ヒトに決まってる。無抵抗で弱かったもん、一発で済んだんだ、から……ボク、知らない!」
その日から、二人は奇妙な夢を見ることになる。
正しさとは、なんなのか知ってしまった後にはもう戻れない。