あらすじ
天正十三年、秋。
羽柴秀吉による天下統一の足音が迫る泉州。
土地の生産力を数字で測る「検地」は、一見公平な仕組みでありながら、強者が弱者を合法的に押し潰す過酷な搾取の道具と化していた。
検地奉行・黒木玄蕃の苛烈な算術により、五十余の農村が廃村の危機に瀕する中、一人の痩せた男が動く。
男の名は雑賀卯之助。
かつて村を焼かれ、老・忍びに育てられた、名もなき草の者である。
代官から黒木の暗殺を依頼された卯之助は、「力で挑んだ者は根絶やしにされる」とそれを拒絶。殺さずに敵を失脚させる、独自の「雑草の兵法」を選択する。
荷運び、博徒、相談役と形を変えて敵の懐へ潜り込む卯之助。
しかし、共に動く情報屋・蓬の焦りから計画は狂い、卯之助は満身創痍で敵に捕らえられてしまう。それは、踏まれることで種を遠くへ運ぶオオバコのごとき、命懸けの策略の始まりだった。
数字と土、強者と弱者。
道端の雑草の執念が、いま国の現実を動かす。