あらすじ
高校二年生の千歳あさひには、誰にも言えない秘密がある。
今、世間を騒がせている『天才高校生ミステリー作家』。
テレビにも出演し、若き才能としてもてはやされるその少年の作品は――すべて、あさひが書いていた。
幼い頃から才能を利用され続け、印税も名誉も評価も奪われながら、それでも書き続けてきた。
だがある日、あさひは限界を迎える。
「もう書けない。これで終わり」
たった一通のメッセージを残し、ゴーストライターを辞めた。
すると数週間後。
新刊は大失敗。
編集部は異変に気づき、
SNSでは『実は別人が書いていたのでは?』という疑惑が広がり始める。
一方、執筆から離れ、平穏な高校生活を送ろうとしていたあさひの前に現れたのは――学校一の美少女にして、今最も勢いのある新人声優・琴音しずくだった。
「やっと見つけました」
その瞳には狂気にも似た熱が宿っていた。
「あなたの文章がなければ、私は今ここにいませんでした」
しずくは、文章の癖や構成だけで、あさひこそが『本物の作者』だと見抜いていたのだ。
そして彼女は告げる。
「今度は私があなたを守ります」
才能を搾取され続けた少女と、
才能を愛しすぎてしまった少女。
これは、誰にも認められなかった天才が、
自分の名前で物語を紡ぎ直すまでの物語。
そして――少し重すぎる愛に捕まってしまった二人の物語。