あらすじ
色のない世界を生きているような感覚を抱えていた高校生・たかし。
ある日、写真の講習会で一眼レフを手にしたとき、初めて「世界は色を持っている」と気づく。
街の写真館の頑固なおじさんに師事し、光と構図を学ぶうちに、世界の見え方が少しずつ変わっていく。
そして公園で出会った同い年の少女・奈緒。彼女もまたカメラを手に、同じ光を追っていた。
リスを追いかけ、猫の一瞬を待ち、夕焼けの中に鳥の群れを捉えながら、ふたりは写真と向き合い続ける。
勝ったのは奈緒だったけれど、負けた悔しさより「見てくれていた」という喜びの方が大きかった。
やがて奈緒は山岳写真家として世界へ羽ばたき、たかしは会社員として働きながら写真を撮り続ける。
それでもいつか——自分の光が、彼女の心に届く日を信じて。
光をとおして、少年は世界と、そして自分自身と出会い直す。静かで温かな青春成長物語。