あらすじ
王宮厨房局で献立監査官を務める伯爵令嬢セリーヌは、婚約者と家族から「料理名を写すだけの地味な仕事」と嘲られていた。
王太子主催の昼餐会を前に、妹が「私の方が華やかな献立を作れる」と言い出し、セリーヌは職務も婚約者も譲るよう命じられる。
だが、王宮の献立表はただの食事予定ではない。
貴族たちの食物禁忌、薬との相性、宗教上の制限、毒見手順、外交儀礼――すべてを管理する命綱だった。
セリーヌは静かに台帳を閉じる。
「では、私が私名義で管理していた食物禁忌台帳は、白紙で提出いたします」
その昼餐会で、華やかな料理は王宮を凍りつかせることになる。