あらすじ
草食獣の群れに生まれた羊のケモノ・ウルは、肉食獣を傷つけ、食べることに異常な執着を持っていた。
「気味が悪い」「化け物だ」と恐れられ、群れを追放されたうるは広い草原をひとり彷徨いながら、自分の欲望を満たせる“おもちゃ”を探していた。
一方、狼のケモノ・ガルは、狩りに失敗したことで群れから見放され、飢えの末に草原で衰弱したところを他の肉食獣に噛み殺された。
誰にも必要とされず、独りで死んだ――はずだった。
偶然その死体を見つけたうるは、「食べるだけでもいいか」とがるを捕食しようとする。
しかし、裂けた肉はゆっくりと塞がり、止まっていたはずの心臓が再び脈打ち始める。
目を覚ましたがるを前に、ウルは初めて“壊れない獲物”に興味を抱く。
逃げようとするガル。
追いかけるウル。
繰り返される接触の中で、ガルは次第に気づいてしまう。
傷つけられている時だけ、
自分は“必要とされている”のだと。
そしてウルもまた、どれだけ壊しても消えないがるに歪んだ安心と執着を深めていく。
これは群れから外れた二匹が出会い、
「痛み」でしか互いの存在を確かめられなくなっていく、孤独なケモノたちの物語。