あらすじ
王都を震撼させた連続貴族殺人事件。
その五人目の被害者は、悪女として名高い公爵令嬢エリス・ヴァレンシュタインだった。
断罪の夜、婚約者である王太子に婚約破棄を告げられ、取り巻きたちに糾弾され、社交界のすべてを失った彼女は、その数時間後――薔薇園で喉を裂かれた死体となって発見される。
そして次に目を覚ましたとき、エリスは別人になっていた。
王都警察庁の若き女性探偵、リディア・クロウ。
冷静沈着、記憶力に優れ、犯罪心理に精通した彼女の肉体に、処刑されたはずの悪役令嬢の魂が宿ったのだ。
与えられた任務は、皮肉にも「エリス・ヴァレンシュタイン殺害事件」の捜査。
容疑者は、彼女を裏切った王太子。
彼女を憎んでいた聖女。
彼女の没落で利益を得た異母妹。
忠誠を誓っていたはずの執事。
そして、誰よりも彼女自身を知っているはずの、死んだエリスの記憶。
だが捜査が進むにつれ、リディアは気づいてしまう。
エリスの記憶には、ところどころ不自然な欠落がある。
自分は本当に被害者だったのか。
それとも、事件の始まりは自分自身だったのか。
悪役令嬢として憎まれ、探偵として真実を追う女が辿り着くのは、愛か、復讐か、それとも――自らが隠した最悪の罪か。
これは、死んだ悪女が自分の殺人事件を解き明かす、貴族社会心理サスペンス。