あらすじ
「あの夜、外出禁止令さえ守っていれば──」
三年前、夜の街で上位魔族に襲われた如月レイジは、五感、身体能力、そして家族のすべてを『強奪』された。
現在のステータスは、文字通りの【ALL 1】。
味も、色も、音すらも極限まで奪われた彼は、昼間の学校では「授業にもついていけない不気味な無能」として、クラスメイトからゴミ未満の扱いを受けていた。
だが、連中は知らない。
レイジが放課後、周囲の目を盗んで、街中の電柱やフェンスに「自らの血」を塗りつけて回っていることを。
それが、夜の街を支配するための『最凶の罠』だということを。
午後十一時。外出禁止令が発効し、異形の魔族が徘徊し始める夜の街。
レイジは自らの最弱の身体を『極上のエサ』にして魔族を誘い込む。
そして時計の針が午前零時を指した瞬間──世界は反転する。
『空間の絶対管理権限を取得しました』
『固有権限:不可侵領域 が起動しました』
レイジが血で囲った空間は、一歩踏み入れば敵が空間ごと圧殺される、神すら殺せる絶対聖域へと変貌する。
さっきまでレイジをただのエサだと思って舐め腐っていた魔族たちは、絶望に顔を歪めながら塵へと変わっていく。
「──罠にかかったな」
これは、すべてを奪われ【ALL 1】にされた最弱の落ちこぼれが、深夜の街で世界の理を力ずくで強奪し、魔族を屠るごとに『失われた人間の機能(ステータス)』をバキバキと買い戻していく、執念の奪還劇。
昼間に彼を見下す連中や、ステータスだけを見て嘲笑う者たちが、彼の『本当の力』と『夜の顔』を知った時──極上の勘違いと恐怖の連鎖が幕を開ける。