あらすじ
神に愛された理想郷で起きた、完璧な英雄夫婦の惨殺事件。
その真相の扉を開けたとき、あなたは人間の剥き出しのエゴ(愚行)を目撃する――。
貧困も犯罪もないとされる、輝ける白亜の都市「レミリア」。
ある夜、この街の象徴であり、民衆の英雄だった天才魔導士エドワルドと、聖女の血を引く美しき妻エレノアが、最高結界に守られた邸宅で惨殺された。犯人の手がかりはゼロ。神聖不可侵の聖域で起きた不可解な事件は、迷宮入りしたまま1年が経過していた。
瓦版記者・アルセインは、風化しつつあるこの事件の再取材を始める。
生前の夫婦を知る者たち――元同僚の魔導士、学院時代の友人、社交界のライバルたちへ「魔導録音機」を向けるアルセイン。しかし、彼らの口から溢れ出てきたのは、被害者への追悼ではなく、醜い嫉妬、見栄、そして「魔力階級社会」の頂点に君臨していた夫婦の、おぞましき剥き出しの本性だった。
完璧な被害者など、最初から存在しなかった。
証言者たちのエゴが複雑に絡み合い、事件の全貌が二転三転するなか、やがて調査の刃は、アルセイン自身が抱える「血塗られた闇」、そして神殿地下牢に囚われた妹・ルナの過去へと向かっていく。
登場人物、全員に裏がある。
すべてのピースが嵌まったとき、あなたが見るものは「正義」か、それとも――。
観る者の倫理観を揺るがす、ダークファンタジー・ミステリーの傑作。