あらすじ
「運命の人に見つけてほしい」
そう願って、千紗は山奥の縁結びの社を訪れた。
けれどその夜、彼女が迷い込んだのは赤い提灯の灯る奇妙な祭りだった。
人波の奥で千紗に手を差し伸べた美しい男は、優しく名を呼び、甘く微笑み、まるで最初から恋人だったかのように彼女を導いていく。
だが、そこは花嫁を喰らう神――御喰いさまの祭りだった。
喰われる寸前、千紗を隠したのは、目元を布で覆ったもう一柱の神。
雨の奥座敷に棲む、忘れられた神――メカクシさま。
「夜明けまで、ここにいましょうね」
薄く甘い水。墨色の袖。名前をしまいこむ声。
千紗は救われたはずだった。
けれど、雨はいつまでもやまない。
愛して喰う神と、愛して生き殺す神。
見つけられたいと願った花嫁は、二柱の神の夜に沈んでいく。
※表紙はAI生成しています。