あらすじ
東京育ちの大学生・涼太郎は、恋愛に無関心な男だった。嫌いなわけでも、避けているわけでもない。ただ――恋をする理由を、これまで一度も必要としなかった。その上、恋愛感情というものを認識したことがなかったのである。
そんな涼太郎は、夢のために京都の大学へ進学し、淡々と日々を過ごす。その中で、昔からの腐れ縁の友人である一樹から何気なく告げられる。
「女の子が、お前に会いたがってるで」
相手は、若葉という女の子だった。
京都生まれ京都育ち、流暢な京都弁を話す、誰が見ても別嬪な女の子。控えめで、情が深く、そして――涼太郎のことを、確かに想っている…らしい。
しかし、若葉の必死な好意は、ことごとく涼太郎に伝わらない。
彼の優しさはあまりにも自然で、あまりにも完璧で、
側から見れば恋人同士のようなのに、本人だけが気づかない。
騒がしく、優しく、時に容赦のない視線の中で、若葉は伝えられない恋に悩み、涼太郎は初めて「分からなさ」と向き合っていく。