あらすじ
世界には、“眠ると壊れる病”が蔓延していた。
人々は夢を見るたび精神を摩耗し、やがて現実と夢の区別を失って死ぬ。
だから誰もが眠ることを恐れている。
――ただ一つの街を除いて。
海上巨大都市《ノクターン》。
そこは唯一、安全に眠れる楽園。
失った家族に会える。
叶わなかった夢を叶えられる。
どんな絶望を抱えた人間でも、幸福な夢を見られる。
だが、その街から帰ってきた者はいない。
消息を絶った妹を探すため、青年ユウはノクターンへ向かう。
しかし到着した瞬間、彼は気づいてしまう。
「この街、誰も“朝”を知らない」
午前零時になるたび鳴り響く鐘。
消えていく人間。
鏡の中で先に笑う自分。
そして、“幸せ”を強制する街。
さらにユウは、街で絶大な人気を誇る歌姫リラと出会う。
誰からも愛される少女。
けれど彼女には、“影”がなかった。
「大丈夫。この街では、みんな幸せになれるから」
そう笑う彼女の瞳だけが、なぜか泣いていた――。
これは、夢に喰われた街の物語。
そして、人類最後の“悪夢”の物語。