あらすじ
警視庁を退職。余命わずか2ヶ月。
「永遠の夏休み」が始まった太陽の前に現れた、日常を壊す『バグ』
それは、錆びたアパートの隣室から響いた、人が倒れる重い振動だった。
インターホンの先。
いつも通り挨拶を返してくれるはずだった、可憐なセーラー服の少女。
だが、その細い指先には、サプレッサーを装備した漆黒の自動拳銃(グロック19)。
背後には、脳幹を撃ち抜かれた生暖かい肉塊。
「心肺停止を確認」
機械のような少女の声に、男の脳が強制的に再起動する。
彼女の名前は朔《さく》。
この半年、太陽が刑事情熱を燃やして追っていた、あの連続射殺事件の暗殺者。
次の被害者は、俺だった。
なのに、なぜ彼女は引き金を引かないのか。
なぜ、俺をじっと見つめてくるのか?
俺の口から、無意識に漏れた懇願。
「一人では心もとない、助けてくれないか?」
体重わずか三十数キロ。
一人では成人男性の死体すら運べない華奢な少女と、死を待つだけの男。
少女が引き金を引き、男がそれを片付ける。
法を外れた共犯関係から始まる、静かで熱い、最後の逃避行。