あらすじ
人間関係は、分子の衝突と同じだ。相性が悪ければ弾かれ、エネルギーが足りなければ何も起きない。だから、物理化学をこよなく愛する高校二年生の孤高の理系女子・結城 理沙(ゆうき りさ)は、誰とも結合(ボンド)を持たない「ぼっち」の生活を謳歌していた。
しかしある日の放課後、彼女の聖域である化学準備室に、不釣り合いな来訪者が現れる。
学園の聖女と名高い完璧な美少女・白鳥 雫(しらとり しずく)。彼女は青ざめた顔で「呪われているの」と告げた。
雫の周囲で起きる『発火する手紙』『何もない壁に浮かび上がる血文字』といった数々のポルターガイスト現象。怯える彼女を前に、理沙は冷たく言い放つ。
「馬鹿らしい。すべてただの化学反応(トリック)よ」
理沙は持ち前の論理的思考と物理化学の知識で、自称・霊能力者や悪意ある人間のトリックを次々と完璧に論破していく。
しかし、理沙は気づいていなかった。事件を解決するたび、自分を見つめる雫の瞳に、オカルトよりもよほど恐ろしくて重い『狂愛』がドロドロと化学合成されていることに——。
これは、鈍感な天才理系少女が、論理で謎を解き明かしながら、無自覚に一人の少女の心を完全に奪ってしまうまでの記録。