あらすじ
王宮聖餐会。
聖女が祝福を込めた料理を、王族と貴族が「神の味」と讃える国。
そこに、前世で料理人だった男・レンジが転生する。
彼は料理で人を幸せにしたいわけではない。
ただ、食材を権威で殺す皿が許せない。
祝福で味をごまかす聖餐料理。
格式だけで守られた王宮ソース。
高級食材を焼いただけで満足する貴族。
まずくて当然と諦められた冒険者飯。
強さと我慢を履き違えた魔族の生肉料理。
毒見のために味を消された王族の食卓。
レンジはそれらを一皿ずつ食べ、確かめ、作り直す。
現代のうま味、発酵、香り、温度、火入れ、隠し味。
ただし作るのは、現代料理ではない。
異世界の食材と伝統料理を、その世界の誰よりも正しく料理する。
「祝福で味を足すな。先に鍋の中を見ろ」
やがて、祝福で人を救ってきた聖女セラフィナもまた、自分の皿を持ち始める。
これは、異世界の美食権威を皿で確認し、奪い、作り直す料理人の物語。