あらすじ
「死ぬたびに、転生するたびに、魂(こころ)は透明に――。DNAの劣化は、魂の劣化だった。」
【あらすじ】
西暦2350年。滅びゆく地球で、人類は「死」さえも資源として再利用していた。
兵士として産み落とされたクローン、あずみ。
彼女の初陣は、あまりにも無惨な敗北で幕を閉じる。
平和主義という「理想」を抱いたまま、彼女はあっけなく撃ち抜かれた。
だが、それは終わりの始まりに過ぎなかった。
死後数時間で、記憶は新しい器へと「転生」させられる。
繰り返される死。繰り返される再生。
しかし、その対価はあまりにも重かった。
転生を重ねるごとにDNAは劣化し、それに呼応するように彼女の内側から「人間としての解像度」が消えていく。
雨の冷たさ、食事の味、そして——愛していたはずの息子の顔。
かつての瑞々しさは、ひび割れた大地のように涸れ果て、残されたのは「効率」という名の冷徹な全能感だけだった。
これは、一人の少女兵士が心を殺し、戦場の「死神」へと変貌し、やがて全人類の運命を司る総指揮官へと登り詰めるまでの、薄く、透明な絶望の記録。
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【登場人物紹介】
あずみ(第1世代〜第12世代)
「アルカ計画」の最高責任者となる女性。
第1世代では「戦争反対」を唱える心優しい少女だったが、戦死と転生を繰り返す中で魂が摩耗していく。
第6世代を過ぎる頃には、かつての自分の死体を「障害物」として避けて通る冷徹さを身につけ、殺戮に「正解を導き出した安堵」を覚える怪物へと変貌する。
レイ(RE-I-05)
第6世代のあずみが出会う、第5世代の兵士。
あずみよりも「世界の解像度」が高い場所に留まっており、「明日、美味いものを食べる」という人間らしい希望を捨てていない。
彼の凄惨な最期が、あずみの壊れかけた心に決定的な終止符を打つことになる。
「幻の息子」
あずみがかつて愛し、そして忘却した存在。
彼女のDNAが劣化し、記憶のディレクトリが破損するたびに、その名前も、声も、温もりも、暗い深淵へと消えていった。