あらすじ

「お前はいつも金の話ばかりで仲間を信用しない」 勇者アレスにそう告げられ、補給係兼値付け士のノア・レインズは、遠征前に勇者パーティを追放された。 剣も振れず、魔法もろくに使えない。 そんなノアにあるのは、物の適正価格、損失、買い叩かれ度が見える【損益眼】だけ。 危険な装備を止めたのも、無理な遠征に反対したのも、仲間を守るためだった。 だが、その目は誰も見たくない損失まで見えてしまう。 勇者たちにとってノアは、前に進む勇気を削る、金勘定ばかりの男でしかなかった。 行き場を失ったノアが王都の市場で見たのは、婚約破棄され「悪女」と呼ばれる令嬢、クラリス・エルネスタの領地産羊毛布だった。 本来なら銀貨七枚の価値がある布。 それが、悪評につけ込まれ、銀貨二枚で買い叩かれようとしていた。 「この布は、半値で売るものではありません」 だが問題は、布の品質だけではなかった。 悪評で失われた信用。 説明を省いてしまった領主代行。 誇りを傷つけられた職人たち。 そしてクラリスは、布だけでなく、自分の失敗にも半値札を貼っていた。 ノアは【損益眼】で、売れない理由を見抜いていく。 安すぎる値段。 届いていない説明。 間違った売り場。 削られ続けた職人の誇り。 数字には出ない信用の損失。 一方、ノアを失った勇者パーティでは、誰も小さな損失に気づけなくなっていた。 これは、売れない商品を安売りする話ではない。 買い叩かれた布と、職人と、領地と、悪女と呼ばれた令嬢。 そして追放された値付け士自身が、もう一度、自分たちの価値を取り戻す話。 「価値を下げるな。売り方を変えろ」 半値札を剥がすところから、安く見られた者たちの反撃が始まる。

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小説を読もう2026/05/29
  • 現在の作品勇者パーティを追放された値付け士、悪役令嬢の領地を安売りさせない 〜買い叩かれた辺境で、価値を取り戻す商売を始めます〜