あらすじ

夏休みを目前に控えた高校二年生の国栖(くにす)樒(しきみ)は、意図せず学内で起こしてしまった騒ぎに懊悩していた。樒の実家の裏手には山があり、そこにある岩屋でよく考えごとをする。その日もそこで物思いに沈んでいると、樒は不意に少女の泣き声を聞く。導かれるようにして岩屋の奥へと進んだ樒は、強烈な光を受けて――不可思議な景色を見ると同時に、自分と瓜二つの少女と入れ違う。
 次の瞬間には、樒は奈良時代の建築を思わせる建物の中にいた。そこで出会う人々は樒を桃花の姫という人物と間違えているよう。どうやら樒と姫は瓜二つ、そして桃花の姫は王に嫁ぐらしく、樒は姫と誤解されたまま都へと運ばれてしまう。
 そこで見るもの、出会うものは全て、教科書で見たような気がする千年以上前の古い建築様式、装束。けれどもそこには少し違和感もある。
 やがて樒はそこが樒の知る日本に似た、異なる世界であることを知る。
 八重花(やえはなの)大豊国(おおとよくに)――宮都、万香京(ばんこうきょう)。王宮に入った樒は誤解を解く暇もない。嫁入りするはずの桃花の姫はしかし、王宮の全員には歓迎されていないようで、彼女として過ごさざるを得ない樒は冷遇の憂き目に遭う。厳しい状況に置かれる樒はだが、持ち前の根性で生き抜く。
 その中で出会った宇都木(うつぎ)という青年。宮中で起こった怪現象を彼と解決しつつ、それをきっかけに大豊国の王である彌条王(やえおう)との対面を果たす。布で顔を隠した王、彌条。交流を深めていくうち、彌条は樒に自分が本物の王ではないことを告げる。
 彌条の本当の名は宇都木、樒がすでに出会っていた青年だった。宇都木は長らく王位に就くはずの王族の代わりに王の務めを果たしているという。
 誰かの代わりをつとめる者同士、二人は少しずつ距離を縮めていく――。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
アルファポリス
アルファポリス2026/05/29
  • 現在の作品よろしうの姫