あらすじ
明治十三年、東京。
没落士族の娘十六歳は、その夜、母に吉原へ売られるところだった。
逃げ込んだ夜の石畳の先に立っていたのは——人か怪異かも見分けのつかないほど美しい、飄々とした男。
「手伝うなら飯くらい食わせてやりますよ」
晴々堂・土御門晴之助。怪異祓い承りますと看板を掲げる術師。人々が恐れおののく闇に、この男は涼しい顔で踏み込んでいく。
行く当てのない娘は晴々堂に転がり込み、「若杉菊子」という通り名を与えられ、化け物退治の助手として明治の闇を歩き始める。
——情が深すぎると、怪異に狙われる。
文明開化の光が届かぬ夜の路地で、今日も怪異と飯と、少しの涙が待っている。