あらすじ
「君のような冷酷な女は、僕の婚約者にふさわしくない」
華やかな卒業記念パーティーの壇上で、巨大財閥の御曹司である婚約者はそう言い放った。隣には、涙ぐむ義理の妹。周囲からの冷たい視線。
しかし、九条凛子(くじょう・りんこ)の心にあったのは、絶望ではなく『圧倒的な安堵』だった。
前世の記憶をうっすらと持つ彼女の中身は、ごく普通のメンタルを持ったただの女子高生。だが、九条家という血みどろの権力闘争の中で生き残るため、そして家族の会社を裏から支えるため、彼女は自らの感情を殺し、長年にわたり「完璧で冷酷な悪役令嬢」を演じ続けてきたのだ。
これでやっと、重いドレスと息の詰まる仮面を脱ぎ捨てて、ただの「私」に戻れる。
実家から追放され、手切れ金として莫大な慰謝料を手にした凛子は、かつて路地裏で拾い、密かに自分の手足として育て上げてきた同い年の天才ハッカー・久我蓮(くが・れん)と共に独立を決意する。
ただ平穏に、普通の女子高生として生きたい。そう願う凛子だったが、彼女のタクト(財務と裏工作)を失った九条家と婚約者の実家は、瞬く間に経営危機に陥り自滅への道を突き進んでいく。
一方、凛子が「ただの優秀な助手」だと思っていた蓮は、彼女が自由になった途端、隠していた異常なまでの執着と重すぎる愛情を隠さなくなり——?
これは、心をすり減らして生きることを強要された不器用な女子高生が、絶対的な忠誠を誓う従者と共に、本当の笑顔と恋を知るまでの物語。