あらすじ
公爵令嬢エレナは、身に覚えのない盗みの罪を着せられ、衆人環視の中で婚約を破棄された。
泣くと思われていた。けれど、泣かなかった。
ただ一人——壁際に立つ寡黙な近衛騎士だけが、嘲笑わず、まっすぐにこちらを見ていた。
数日後、その騎士クラウスが現れて言う。
「あなたは何もしていない。それを、十年前から知っています」
彼の手にあったのは、十年分の証拠と、褪せた一輪の押し花。
誰も見ていないと思っていた。
本当のことを、ずっと見ていてくれた人がいた。
着せられた罪は、自分の手で覆す。寡黙な騎士の、十年越しの恋の話。