あらすじ

宇宙を覆い尽くさんとする善意が、地球まで押し寄せた。 ブラザー・カヂルグミが救済施設の鍵を開けると、地球人全員の心に扉が用意された。 その扉をくぐれば、誰もがリッチになれた。 金の話だけではない。 生と死の境界はあやふやになり、病気や老いは遠いものになった。 あふれ出て余りある愛は、ただ一人の孤独も許さなくなった。 人々は一斉に駆け出し、扉をくぐって、楽園のプールに飛び込んだ。 肉を食い、好きな人と抱き合い、理想的な自己実現におぼれた。 しかしなぜか、そんな悠久のバカンスの手前で立ち止まる人たちがいた。 その扉の前で、準備運動をはじめる者もいた。 カヂルグミは首を傾げながら、その人たちに近づき、声をかける。 「何か、お手伝いできることはありますか?」 これは、猫が隠した星で行われた、人類と、不幸の最後の戸締まりの話である。

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カクヨム
カクヨム2026/05/29
  • 現在の作品猫が隠した星 〜楽園へ行く前に、片づけることがある人たち〜