あらすじ
「島原に嫁いだうちの夫は、凪のようなお人どした」
「室町から来はった妻は、まっさらな心のお人やった」
1800年、京都島原
室町の呉服商『白木屋』の娘・千世は
島原の茶問屋『蓮見屋』の跡取り・清二郎に嫁ぐ
控えめな千世を待ち受けていたのは
室町とはまるで違う絢爛豪華で危うい世界だった
腹に響く三枚歯下駄の音
現を忘れる三味線の音
熱を帯びた人々の声
その喧騒を突き抜けて
蓮見屋の奥から聞こえるのは
石臼を挽く音と、筆を走らせる音
蓮見屋が抱える真実と、夫の秘められた熱い情熱に触れる千世
妻の穢れなき魂に触れ、心の覆いが融けていく清二郎
しがらみに抗い、家の誇りを守り抜く者
日々の生を繋ぎ、迷える心を導く者
色街の底で、己の灯火を失わぬ廓の女たち
嘘か真かも分からぬ世界で
人々の想いが交錯し、響き合う
家族の再生の物語