あらすじ
「――よくぞ来てくれた、運命の番よ」
そう言われても、来た覚えはない。
気づけば異世界。私は魔王様の「運命の番」ということになっていた。千年待った国、泣いて喜ぶ人たち、世界を救う結婚。それなのに、私が「はい」と言った瞬間は、どこにもなかった。
お茶に入れる蜂蜜も、好きな食べ物も、明日の予定も、いつも誰かが先に決めてくれる。そんな毎日のなか、たった一人、こちらをちゃんと見て、こう聞いた人がいた。
「お前は、ここに来たかったのか」
コンビニのおにぎりを片手に召喚された女と、台本どおりに振る舞うのをやめた魔王の話。
誰にも聞かれなかった、私の「都合」をめぐる、全年齢の異世界恋愛短編です。