あらすじ
静かに、確かに、それは彼の中で目覚めていた。
討伐任務の最中、正体不明の「スライム」に寄生される。侵入は鼻孔から、寄生先は脳。
だが、彼は死ななかった。
以来、彼の日常には“見えない異物”が潜みはじめる。冴えわたる直感、そして――言葉にできない「違和感」。
脳に溶け込み、記憶と思考をなぞるスライムの存在。
自分の中にいる「何か」が、自分ではないものとして、だが確かに共に在るという感覚。
見えない、語れない、触れられない。
それは限りなく透明で、
しかし誰よりも彼にとっては、存在していた。
――これは、自我の輪郭が静かに滲んでいく物語。
――人であり続けることを問いながら、「共生」とは何かを探すファンタジー。