あらすじ
病弱な青年・佐藤悠真は、二十三歳という若さでで命を落とした。
目を覚ますと、そこは真っ暗な闇の中。身体は動かず、聞こえるのは大きな鼓動の音だけだ。混乱する悠真の耳に、優しい女性の声が響く。彼女は、かつて魔族を率いた災厄の魔王エルドラード・ファナブル・ジャンナ。
どうやら悠真は、彼女の胸に突き刺さった聖なる杭に転生したらしい。
彼女は数百年前、人類との戦争に敗れて勇者に捕らえられ、聖国の広場で透明な箱に封じられてしまう。その後、魔王広場の名物として半ば観光地扱いされ、長い年月を過ごしていたらしい。
最初は状況に混乱する悠真だったが、エルドラードの呑気な性格に振り回されながら、二人は少しずつ打ち解けていく。
聖燐祭の日、悠真は人々が注ぐ聖なる力を逆に利用し、箱と枷の封印を壊す。数百年ぶりに外へ出たエルドラードは、世界を滅ぼすどころか、まずは屋台の菓子に目を輝かせた。
「いや、え?」
「ん?」
「なんで?」
「なにが?」
「魔王様まんじゅう、食べるの?」
「うん」
こうして、病弱だった青年と元魔王の、奇妙で少し騒がしい第二の人生が始まる。