あらすじ

東北沢。 下北沢と代々木上原のあいだの街。 子どもにも大人にもなりきれない八瀬環は、その街で東京5年目を迎えていた。 地方から“特別な自分”になりたくて上京したのに、東京には自分より可愛くて賢い人間がいくらでもいた。 それでも、誰にも干渉されないこの街が好きだった。 21歳の夏。 地元の友人の結婚式帰り、下北沢で片方のパンプスを落とした夜。 環は、関西弁を話す17歳の少年・楓と出会う。 「おねえさん、帰りたくないんやろ?」 深夜喫茶、クリームソーダ、甘い煙草の匂い。 連絡先すら交換しなかった二人は、“また会えたら運命”と言って別れた。 ——その一ヶ月後。 元恋人にもらったライブハウスの月パスを使って訪れた地下で、環は再び楓を見つける。 インディーズバンド「環状線」のボーカルとして。 泣きながら自分を抱きしめる17歳。 空っぽなのに満たされてしまう夜。 東京は今日も、未完成な人間だけに優しい。 これは、 「何者かになりたかった」女の子と、 「何者にもなれないまま歌う」少年の、 東京の恋の話。

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小説を読もう2026/05/28
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