あらすじ
ブラック企業で心をすり減らし、わずか三ヶ月で会社を辞めた飯島明人(いいじま あきと)。
親には失望され、実家を追い出された彼は、家賃四万円の古いアパートで一人暮らしを始め、小さなピザ屋「猫のしっぽ」でアルバイト生活を送ることになる。
将来の不安はある。
それでも、少しずつ灰色だった毎日が動き始めていた――はずだった。
「おかえりー」
誰もいない部屋から、声がした。
部屋にいたのは、制服姿の少女・ユキナ。
自分の名前以外の記憶を失った“幽霊”だった。
なぜか明人のそばを離れられないユキナとの奇妙な共同生活が始まる。
少しずつ距離を縮める二人。
やがてユキナは、自分が成仏できない理由に気づく。
「私のやり残したこと、手伝ってくれませんか?」
失った青春を取り戻す幽霊少女と、人生につまずいた青年。
止まっていた二人の時間が、少しずつ動き始める。
けれど、記憶が戻るたびに近づくのは――別れの時だった。
これは、人生に疲れた青年と、青春を知らない幽霊少女の、少し切なくて温かい共同生活の物語。