あらすじ
二十二歳のリーダー常住は、山奥の寺で座禅修行を仕切ることになった。恐怖で人を動かすことしか知らない彼女は、毎日プレッシャーと孤独に押しつぶされそうになっていた。
そこへ現れた五十一歳の修行者、安岡。
便所掃除を黙々とこなし、心臓が破れるような急坂を若者たちより速く駆け上がる。言葉少なく、ただ行動で周囲を圧倒するその姿に、リーダーは初めて「怪物」を見た。
安岡は誰にも説教しない。しかし気づけば、正座の痛みに耐えられなかった少年は正しい座り方を身につけ、リーダーに反発していたサブリーダーは核心的な問題提起をするようになり、嵐のような住職でさえ機嫌よく作業を終えていた。彼はただそこにいるだけで、周囲の人間を静かに、しかし確実に変えていく。
リーダーの中に芽生えたのは、不快感か、憧れか、それとも――。
七日後、安岡は何も言わずに去った。彼の残した「呪い」のような影響は、リーダーの心とリーダーシップに深く刻まれる。そして七年後、東京の街角で二人は再会する。
「私なら、あなたを振りませんよ」
これは、七日間の怪物に出会った一人の女性が、自分自身を取り戻すまでの物語。