あらすじ
「次の者ー。……はい、次の者ー。はい、次ー」
「はあ……」
とある昼下がり。柔らかな日差しが石畳を照らし、町の広場にはどこか浮き足立ったざわめきが満ちていた。その中心で、今日も今日とて王子は側近を従え、背もたれの高い椅子に腰を据えていた。舞踏会の夜に出会った“愛しの君”を見つけ出すためである。
王子の前には長い行列ができ、若い娘たちが期待とあきらめが入り混じった表情で順番を待っていた。つま先立ちで前の様子を窺い、隣同士でひそひそ囁き合いながら、奇跡が自分に訪れることを夢見ていた。
手招きされ、明るい返事とともに前に進み出ては、慎重にガラスの靴に足を差し入れるが、ほどなくして肩を落とし、項垂れながら列の外へ去っていく。