あらすじ

舞台は、6600万年前の小惑星衝突が起こらず、恐竜が生き延びて独自の進化を遂げた地球。小型獣脚類トロオドンから派生した知的生命体スパルコドンは、金属精錬を持たない代わりに、菌糸を生体配線とし圧電結晶で電気を扱う独自の文明を築いていた。彼らと共に、樹上で索道技術を発展させた鳥人カナエ鳥人、大地を震わせる「地声」で対話するハドロサウルス・ロクエンスの三種族が、互いに異なる感覚世界を持ちながらこの森で暮らしている。 物語は、見習い修復士ジクタルが西北の旧封鎖区画で菌糸の異常な電位変動——三重構造の規則的なパルス——を感知するところから始まる。それは200年前の大火災で焼け死んだハドロサウルス、ル・ヴァルンの最後の叫びを菌糸が保存し、警告として繰り返し発信し続けていたものだった。地下深部の熱源が再び活動を始めていることを、菌糸だけが察知していたのである。 緊急多声会議でジクタルは証言を行う。ハドロサウルスの長老ブロルームの「記憶の歌」により菌糸の声が200年前の叫びと同一であることが確認され、カナエ鳥人の発明士ヴェスピルが開発した振動増幅器を用いた菌糸との応答が試みられる。しかし、かつて菌糸の廃熱で自らの卵を失った根源派の指導者コラスは、菌糸の全面停止を主張して対立する。ジクタルは、この状況をどう打破するのか?

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カクヨム2026/05/04
  • 現在の作品多声の盟約