あらすじ
朝比奈結衣は、クラスでもわりと人気者の女子高生。明るくて、気がきいて、空気が読める子。
でもそれは、性格がいいからだけじゃない。
結衣には、小さいころから人の本音が聞こえる。
口では「平気」と笑っていても、本当は泣きたいこと。
「似合うよ」と言いながら、別のことを思っていること。
そういう声が、ふっと耳に落ちてくる。
だから結衣は、ずっと失敗しないように生きてきた。
だれも困らせないように。だれにも嫌われないように。
自分の気持ちは、最後でいいと思ってきた。
そんな彼女が気になっているのは、同じクラスの榊千紘。
静かで、やさしくて、でも必要なときにはちゃんと言う男の子。
そして彼にだけは、なぜか本音が聞こえない。
聞こえないから、知りたくなる。
聞こえないから、こわくなる。
聞こえないからこそ、結衣ははじめて「自分の気持ちで人を好きになる」。
文化祭準備が始まり、クラスの恋も友情も見えないひずみも、少しずつ動き出す。
これは、みんなの気持ちがわかってしまう女の子が、
たったひとつ、わからない恋にちゃんと向き合う話。