あらすじ
妹を失った事故の日から、世界は少しだけ歪んで見えるようになった。
神代氷月は、その罪と記憶を抱えたまま、お嬢様学校へと編入する。
そこは完璧に整えられた、静かで美しい世界だった。
けれど、その中で彼だけがどこか“浮いている”。
周囲からは「完成されている」と評され、理由もなく距離を置かれ、そして――なぜか惹かれていく。
一ノ瀬結菜という幼なじみは、変わらず彼の隣に立ち続ける。
柊雫は、彼の存在に違和感を抱きながらも目を離せない。
桜庭陽菜は、ただまっすぐに彼へと近づいてくる。
しかし氷月は気づき始める。
自分の中に、もうひとり“誰か”がいることに。
失ったはずの妹の声が、夢の中で繰り返し呼びかける。
「ねぇ、氷月」
その声が現実に滲み出したとき、彼は“僕”になっていた。
これは、壊れた記憶と現実の境界で揺れる少年が、
自分が何者なのかを失っていく物語。
そして――
もう一度“妹”と向き合うための、歪んだ再生の記録。