あらすじ
デイサービスの管理者として働く相沢 恒一は、
人手不足と低い稼働率、終わりの見えない現場に疲弊していた。
「いいケアをしても施設は回らない」——その現実に直面した彼は、
やがて“ある答え”にたどり着く。
高齢者本人ではなく、家族の不安に応えること。
安心を提供することで、対価を得ること。
独立した相沢の事業は瞬く間に軌道に乗る。
不安に寄り添い、必要性を提示し、契約へと導く。
それは違法ではないが、どこか歪んだ成功だった。
だが、現場には少しずつ違和感が積もっていく。
過剰なサービス、疲弊するスタッフ、置き去りにされる本人の意思。
そんな中、ある利用者の一言が相沢を揺さぶる。
「俺は、もう終わった人間か?」
その問いに、彼は答えられなかった。
支えることと、稼ぐこと。
善意と利益のあいだで揺れながら、相沢は選び直そうとする。
これは、ケアに値札をつけた男が、
もう一度“誰のための仕事なのか”を問い直す物語。