あらすじ

国立特殊保護施設「第四保育区」。 そこは、世界から「なかったこと」にされた命たちが、透明なアクリル越しに呼吸を繋ぐ場所だ。 保育士の瑞穂(みずほ)の仕事は、人間になり損ねた異形たちに食事を与え、排泄物を片付け、偽りの慈愛を注ぐこと。 真っ白なエプロンは、己の「個」を殺すための死装束。 アクリルの向こう側で蠢く肉塊は、進化の途上で立ち止まった、自分自身の成れの果て。 「先生、だいすき」 模倣された愛の言葉。抉られる肌の激痛。 外界が滅び、秩序が崩壊していく中で、瑞穂は気づく。 檻の中にいたのは、彼らではなく、人間という形に執着していた自分の方だったのだと。 これは、一人の女が「人間」であることを辞め、 美しき怪物の苗床として完成されるまでの、聖なる共食いの記録。

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カクヨム
カクヨム2026/05/03
  • 現在の作品動物園 ―第四保育区・異形飼育記録―