あらすじ
グランヴェリス王国は、只人こそが国を導くべきだと信じる貴族主義国家だった。
市民兵として軍に入った青年、ルシアン・アーヴェル。
だがその正体は、王国軍務を握る大貴族ヴェルクラント家の庶子――ルシアン・グランゼル・ヴェルクラント。
黒髪赤目の細身の美形。
黙っていれば冷たい貴公子。
けれど口を開けば、不遜で、豪快で、無駄に自信がある。
そんな彼が配属されたのは、王国と諸族境域ヴァルガの境目にある境門砦グラスト。
市民兵、素行の悪い問題児、貴族に見捨てられた者、只人主義に弾かれた諸族。
王都の貴族たちが「捨て駒」と呼んだ者たちを前に、ルシアンは笑う。
「最高じゃないか! こんな宝の山を捨てるなんて、王都の貴族は見る目がない!」
軍略神オルディアスの加護を受け、戦場を盤面のように手繰る青年。
伝令神ヴェリオルの旗と狼煙で、捨て駒たちを勝てる場所へ導いていく。
弱い兵ではない。
使い方を知られなかった兵だ。
獣人、ドワーフ、森人族、魔族系種族、混血民。
王国が交じり合えなかった者たちを、ルシアンは拾い上げていく。
これは、捨てられた者たちの復讐譚ではない。
王都が見捨てた境域から、新たな国が興るまでの物語。